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日米関税合意に中小企業は期待すべきか?15%合意でも見えない実務への影響

  • inokuchi
  • 7月30日
  • 読了時間: 2分

2025年7月23日、日米間で関税交渉の合意が報じられました。焦点となった自動車などの関税率が25%から15%に引き下げられる一方、日本が米国に約5500億ドル(約80兆円)規模の投資を約束するなど大規模な条件が含まれています。しかし、中小企業としては、「実際に自社にどんな影響があるのか」がまだまだ見通せず、不透明な点が多いままです。


1. 合意の概要:何が決定されたのか

  • 日本製品の対米関税が「15%」に設定(25%からの引き下げ)。自動車・部品にも同様に適用される(合計15%:2.5%現行+12.5%新設定)

  • 鉄鋼・アルミの関税(50%)は据え置きとされ、今回の合意には含まれていません

  • 日本側は、約5500億ドル(約80兆円)規模の米国向け投資を提示し、9割の利益を米国側が享受する条件とされています


2. 中小企業へのポジティブな側面

  • 輸出コストの潜在的低減

 自動車関連ではないものの、15%の関税引き下げは、部品・加工品などを輸出する中小企業にも追い風となる可能性があります。

  • 米国での調達・販売機会の増加予測

 日本が米国に巨額投資を行うことで、現地調達先や部品提供など、間接的なビジネスチャンスが生まれる可能性あり。


3. しかし依然として不透明:中小企業が懸念すべき点

  • 詳細条件・対象品目の明示は未発表

 現時点(7月23日時点)では、どの製品・業種に15%適用されるかの公的な詳細が明らかにされておらず、中小輸出企業は今、自社が該当するかどうか判断できません。

  • 鉄鋼・アルミ価格に影響

 50%のまま据え置かれた関税により、鉄鋼・アルミを使う中小製造業では依然としてコスト上昇リスクが残ります。

  • 政治リスク・制度の変動

 今回の合意では、5500億ドル投資の「方向性」は示されていますが、その実施スケジュールや条件(保証や貸出の対象など)は依然明確ではありません


日米の関税交渉合意は、輸出戦略や国際調達を行う中小企業にとって、潜在的にはプラス材料と捉えられます。しかし、大切なのは「その恩恵がいつ、どのように、どの企業に届くのかを見極めること」です。

今後、具体的な品目指定・適用タイミング・関連制度(投資スキーム・保証内容)が公表されるまで、中小企業は慎重に現状を把握し、自社への影響をリアルに見通しておくことが肝要です。


中小企業の皆さまにとって少しでも判断材料となるよう、私たちダイバーシティイノベーションは情報提供と実務支援に全力で取り組んでいます。関税や経営環境に関するご相談も、どんなことでもお気軽にご相談ください。

トランプ関税
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