後継・成長期の中小企業へ。国が描く“中小M&A市場改革プラン”とは?
- inokuchi
- 8月7日
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中小企業庁は2025年8月5日、後継者不在や賃上げ・人手不足などの課題に対応するための、「中小M&A市場改革プラン」を正式に発表しました。単なる承継手段にとどまらず、自社の未来を切り開く戦略的な成長手段としてのM&A推進が、国の新たな政策方針として打ち出されています。
この流れは、従来の「引き継ぎ」型から、「成長戦略としての承継」へと、中小企業経営の視点を拡張します。
【背景】なぜ今、中小M&Aを改革するのか?
経営者の高齢化や後継者不在が深刻化。地方や小規模事業者ではM&Aに対する不安や抵抗感も根強く残っています。
人手不足や賃金原資確保の必要性により、単なる事業承継ではなく、M&Aによる規模の拡充や再編が求められています。
支援機関の質のばらつきや、不適切な買収者が存在することもあり、市場の信頼性向上が不可欠な段階に来ています。
【改革プランの柱】3つの視点からの支援策
今回発表された「中小M&A市場改革プラン」では、大きく3つの観点から支援が強化されます。
まず一つ目は「譲渡側への支援」です。これは、後継者不在に悩む中小企業に対して、より安心してM&Aを活用できるよう、適切なマッチング支援体制や事業承継計画の策定支援を強化するというものです。単に「売却する」ではなく、「誰に、どのように引き継いでもらうか」という観点での丁寧な支援が拡充されます。
次に、「市場整備」の取り組みも強化されます。仲介・支援機関の質にばらつきがあるという現状を受けて、支援機関登録制度の活用や倫理ガイドラインの普及により、安心して相談できる体制を整える方針です。これにより、不適切なアドバイスやトラブルを未然に防ぎ、市場全体の信頼性が高まることが期待されます。
そして三つ目は、「譲受側への支援」の充実です。M&Aを通じて人手不足を補ったり、新規事業に参入したりするなど、買い手企業の成長戦略の一環としてM&Aを積極的に活用できるようにすることが目的です。単なる“事業の引継ぎ”にとどまらず、成長に向けた“事業の組み換え”としてM&Aを位置づけようという姿勢が明確に示されています。
【中小企業が取るべきアクションとは?】
こうした環境整備が進む今、中小企業経営者がまず行うべきは、M&Aに関する正しい情報を集め、自社の経営状況に照らして「選択肢の一つ」として検討を始めることです。最近では、公的機関による無料セミナーや専門家相談の機会も増えており、これらを活用することで知識を得ながら、リスクや手続きの流れを学ぶことができます。
次に、自社の将来像を描き、事業の継続・発展に向けたビジョンを明確にしておくことも重要です。後継者が不在の場合でも、M&Aという手段を使って「どう価値をつなぐか」「どのような企業と組むべきか」といった視点を持っておくことで、より納得感のある承継につながります。
さらに、実際にM&Aを検討する段階では、信頼できる専門家や公的支援機関と連携することが欠かせません。財務や税務、法務の専門性を持つパートナーとともに、自社の強みやリスクを冷静に見つめながら進めることで、適正かつ納得できるM&Aを実現することが可能になります。
「中小M&A市場改革プラン」は、承継先の確保だけでなく、中小企業が次の成長ステージを実現するための有力な手段として位置付けられています。
承継を活かして新ビジネス展開や賃上げを達成するためには、今こそ戦略を持ってM&Aを捉えることが重要です。
ダイバーシティイノベーションでは、事業承継やM&Aに関する計画策定、専門家マッチング、資料作成などの支援を行っています。将来を見据えた企業の一歩を共に築いていきましょう。どんな小さなご相談も、どうぞお気軽にお寄せください。

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