「M&A過去最多」から見える日本企業の変化と中小企業が今向き合うべき課題とは?
- inokuchi
- 4月16日
- 読了時間: 2分
2024年度(2024年4月〜2025年3月)のM&A(合併・買収)件数が、過去最多の4,704件に達したことが、日経新聞の記事にて報じられました。これは前年から11%の増加で、1985年の調査開始以降、最多を記録したとのことです。
増加の背景には、海外投資ファンドによる日本企業の買収や、上場企業による事業の選択と集中の加速がありました。とくに非中核事業の「カーブアウト」(事業切り離し)が活発化しており、コンビニ事業に注力するセブン&アイHDがスーパー部門を売却した事例や、円安を背景にした外資による企業買収も目立ちます。
一方で、日本企業同士のM&Aも件数ベースでは前年比13%増の3,698件となっており、中小企業を対象とした事業承継型M&Aや地域企業の買収によるエリア拡大などが大きく進んでいる様子もうかがえます。
今回のM&A件数の急増は、大企業や外資だけの動きではありません。実は、中小企業の事業承継ニーズの高まりも、M&A増加の背景の一つです。
日本では経営者の高齢化が進み、2025年には中小企業経営者の6割以上が70歳を超えるとされており、後継者不在による「廃業予備軍」が多数存在しています。こうした企業の事業継続を支える手段として、M&Aによる第三者承継が現実的かつ有効な選択肢として定着し始めています。
たとえば、すかいらーくHDが買収した「資さんうどん」のように、地域密着型企業の買収によりブランド力や事業基盤を取り込む動きは、大手企業にとっての成長戦略であると同時に、売却側の企業にとっても「雇用や地域とのつながりを維持しながら事業を残す」手段となります。
事業承継問題が深刻化する中、M&Aは単なる買収ではなく、「企業の価値を次世代へつなぐ」ための有力な手段になりつつあります。
後継者がいない企業にとっての事業の出口戦略として
新たな市場を求める企業にとっての成長戦略として
地域や業界内での再編に向けた生き残り戦略として
M&Aはもはや大企業だけのものではなく、**中小企業にとっても「経営の選択肢のひとつ」**として現実的に考えるべき時代に入りました。
今後も世界経済の不透明感が続く中で、「買われる企業」「選ばれる企業」になるためには、経営の磨き上げや財務の透明性、そして早期の準備が重要になります。

Comments