中堅企業にとってのDXの取組み
- inokuchi
- 3 日前
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中堅企業は日本経済の重要な柱であり、2024年を「中堅企業元年」と位置づけた政府が成長促進策を発表したことを受け、IP(独立行政法人 情報処理推進機構)は「DX動向2024 - 中堅企業のDXの取組についての考察」を公表しました。この報告書では、中堅企業が取り組むDXの現状と課題、そしてその推進体制についての分析が行われています。
調査によると、2023年度における中堅企業のDXへの取り組みは増加しており、企業全体のデジタル化が進む傾向が見られます。しかし、DXの上位段階に位置する新しい製品やサービスの創出、ビジネスモデルの変革といった成果は依然として十分ではありません。また、企業文化や風土にはいくつかの課題が存在しており、具体的には、社内コミュニケーションの不足、多様性の受容性の欠如、柔軟な働き方の未整備、リスクを伴うチャレンジの不足などが挙げられます。これらの問題は、成長への意欲が乏しい経営者や業務に追われて余裕がない従業員によってDXの進捗が妨げられていることが背景にあると推察されています。
さらに重要な課題として、DXを推進するための人材不足が挙げられます。中堅企業ではデータサイエンティストやサイバーセキュリティ専門家といったデジタルスキルを持つ人材に加えて、DXの戦略を立案・統括するリーダーや現場で推進・実行する担当者が圧倒的に不足していることが明らかになっています。また、大企業と比較してIT分野に精通した役員が少ないことも問題であり、これがDX予算の確保や企業のビジョンの共有を遅らせる原因のひとつとなっています。
これらの課題を解決するためには、まず企業内で将来像を明確にし、そのビジョンを従業員と共有することが重要です。そのうえで、業務を進めながら役員や従業員が段階的にデジタルリテラシーを向上させていき、自社内でDXを推進する人材を育成する体制を整えることが求められます。また、企業全体が一定のデジタル対応力を身につけた段階では、新技術を活用してリスクを伴う挑戦を行う必要があります。このような段階的なアプローチにより、中堅企業はDXを通じて成長し、国内経済への貢献をさらに高めることが期待されます。

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